コラム:試聴するとき、結局どこを聴けばいいの?
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イヤホンを試聴できる機会があっても、「何を聴けばいいんだろう」と迷うことがあります。
低音、高音、解像感、音場……。
レビューを見るといろいろな言葉が出てきますが、実際に試聴してみると、違いはなんとなく分かっても、それをうまく説明できないこともあります。
でも、試聴で大切なのは、音を専門的に分析することではありません。
自分が普段聴いている音楽を、そのイヤホンで気持ちよく聴けるか。
まずはそこから考えてみると、試聴するときに見るポイントも少し分かりやすくなります。
装着感を整えたうえで、普段聴いている曲の「ボーカル」「低音」「高い音」、そして聴き疲れしないか。
試聴では、そのあたりを意識するだけでも十分です。
まず決めておきたいのは「曲」
試聴するときは、普段からよく聴いている曲を使うのがおすすめです。
何度も聴いている曲なら、「いつもより声が近く聞こえる」「低音が少し強く感じる」といった違いにも気づきやすくなります。
逆に、初めて聴く曲では、その違いがイヤホンによるものなのか、もともとの楽曲の音なのか判断しにくいこともあります。
できれば3〜5曲ほど用意して、次のようなタイプを混ぜておくと比べやすくなります。
- ボーカルが中心の曲
- 低音がしっかり入っている曲
- 楽器の数が多く、音が重なる曲
いわゆる試聴用の曲を探すより、「この曲はいつもこう聞こえる」という基準を自分の中に持っている方が役立つことがあります。
① 最初に確認したいのは装着感
音を細かく聴く前に、まずイヤホンが耳にきちんと合っているかを確かめてみましょう。
特にカナル型イヤホンは、イヤーピースのサイズや装着位置によって、低音の聞こえ方や音の印象が変わることがあります。
- 軽く頭を動かしても外れにくいか
- 耳に痛みや強い圧迫感がないか
- イヤホンが不自然に浮いていないか
- 周りの音がどのくらい入ってくるか
装着が安定してから、音の違いを聴き比べる方が分かりやすくなります。
② ボーカルが自然に聞こえるか
歌ものをよく聴くなら、ボーカルから確認してみると分かりやすいです。
声が自分の近くに感じるのか、少し遠くに感じるのか。
伴奏の中でも言葉が聞き取りやすいか。
ここで「近い方がいい」「はっきり聞こえる方がいい」と決める必要はありません。
好きなアーティストの声が、自分にとって自然に、心地よく聞こえるかを意識して聴いてみてください。
「いつもよりこの声が好きに聞こえる」と感じたなら、それも大切な判断材料です。
③ 低音は「多いか」だけで見ない
低音が強いイヤホン、という表現はよく見かけます。
ただ、低音は多ければ多いほどいいとは限りません。
ベースやバスドラムが一音ずつ分かりやすく聞こえるのか、それとも厚みのあるひとまとまりの音として聞こえるのか。
どちらを心地よいと感じるかは、好みによって変わります。
ポイントは「低音が強いか弱いか」を採点することではなく、普段聴いている曲で低音が気持ちよく感じられるか、ほかの音を邪魔しているように感じないかです。
④ 高い音は「刺さる感じ」がないか
シンバルや高い声などが、はっきり聞こえるイヤホンもあります。
その明るさやきらびやかさを心地よく感じることもあれば、人によっては少し刺激が強いと感じることもあります。
ひとつの目安として、ボーカルの「さ・し・す・せ・そ」といった音を聴いてみる方法があります。
サ行だけが必要以上に鋭く感じたり、耳につくように感じたりしないかを確かめてみてください。
短時間では気にならなくても、長く聴くと疲れそうだと感じるなら、その感覚は無視しなくていいと思います。
⑤ 音がたくさん重なるところも聴いてみる
曲の始まりはシンプルでも、サビになるとボーカル、ドラム、ベース、ギターなどが一気に重なることがあります。
そういう部分では、イヤホンごとの違いを感じやすくなることがあります。
音がたくさん鳴っていても、それぞれを追いやすいと感じるのか。
全体がまとまって迫力のある音として聞こえるのか。
ここにも正解はありません。
細かい音まで追いやすい方が好きな人もいれば、全体が自然にまとまって聞こえる方が好きな人もいます。
⑥ 小さめの音量でも聴いてみる
試聴するときは、つい音量を少し大きめにしたくなることがあります。
ただ、音が大きいと、それだけで迫力が出て「いい音」に感じやすくなることもあります。
複数のイヤホンを比べるなら、できるだけ同じくらいの大きさに聞こえるよう音量を合わせてみましょう。
さらに、少し音量を下げてもボーカルや楽器が聞き取りやすいかを試してみると、普段使うときのイメージもしやすくなります。
⑦ 「このまま聴いていられそうか」も忘れずに
数分の試聴では、とても印象の強い音が魅力的に感じることがあります。
一方で、実際にイヤホンを使う時間はもっと長いかもしれません。
もし2つのイヤホンで迷ったら、
「これで1時間くらい聴いていても疲れなさそうか」
と考えてみるのもひとつの方法です。
音の派手さだけではなく、耳への圧迫感や高い音の刺激、低音の強さなども含めて、自然に音楽を聴き続けられそうかを想像してみてください。
うまく言葉にできなくても大丈夫
試聴したあとに、「低音はどうだった?」「高音は?」「解像感は?」と聞かれても、うまく説明できないことがあります。
でも、「こっちの方が好きだった」「もう少し聴いていたい」と感じられたなら、それで十分です。
イヤホンを選ぶために、音の違いを専門用語で説明できる必要はありません。
自分が好きか、聴いていて疲れなさそうか、普段聴く曲との相性がよさそうか。
そうした感覚も、イヤホンを選ぶときの立派な手がかりになります。
さいごに
試聴するときに、すべての音を細かく分析する必要はありません。
普段の曲を使って、装着感、ボーカル、低音、高い音の順に聴いてみる。それだけでも、違いは十分に見つけられます。
「いい音かどうか」を探すのではなく、「自分の聴き方に合っているか」を確かめる。次にイヤホンを試す機会があれば、そんな気持ちで聴いてみてください。